プロレスリング散空抱地 〜人類選抜戦〜

 序章
 派手な格好の大男が電話口で深刻そうな表情。「とんでもない計画が動き出そうとしている。にわかには信じられそうにもないことだが。ようく聞いてくれ。そして、大統領に伝えるんだ。おい。おい、どうした?菅原。返事をしてくれ」
 電話口からは通話が切れたことを意味する規則的な電子音が繰り返される。
 派手な顔の大男が気配を感じて振り向くとそこには派手な格好の三人の男が。
 電話をしていた男「な、馬鹿な。何故こんなにはやく」
 三人組の真ん中の男「フフフ。電話線を切らせてもらったよ」と言って切った電話線を見せる。「われわれの大事な計画が外部に漏れては困るからね」
 電話をしていた男「くそっ。かくなるうえはっ」
 側転してから宙に飛び、強烈な蹴りが三人組の真ん中にいた男の顔に完璧に入ると、蹴られた男は吹っ飛んで後ろの壁に当たり、大きな音を立てる。
 しかし、すぐさま両脇にいた男たちの協力攻撃であるサンドイッチラリアットが決まり、電話をしていた男はその場に崩れ落ちる。
 崩れ落ちた男の両脇を、必殺技を決めた二人がそれぞれ抱えて強引に立たせると、いつのまにか先ほど蹴りをまともに受けたはずの男がつかつかと歩み寄ってくる。
 「フフフ。計画に支障はない。我は天にあり、世は全て俺のものだ」
 そして、捕らえられた男の腹部に強烈な拳をえぐりこませる。
 その惨劇が灰色の無機質な壁にシルエットとして映し出される。
 溶暗。