10月の新刊

<国内物>
10/4発売
『野球しようぜ』許斐才蔵
3球目に放たれた142キロのストレートは彼にとって生涯最高のボールだったが、一人の天才にとっては生涯に何千本と打つことになるホームランの内のひとつに過ぎなかった―。
「いつもおまえの前を歩いているつもりだった。俺が草をかき分けて、道のない場所をおまえが泣かずに歩いていけるように」
 これまで、夢を諦めないことの大切さを説き続けてきた青春小説の巨匠、許斐才蔵が少年たちに直面する無慈悲で冷酷な現実を、それでも愛情に溢れた筆致で丁寧に描き出した意欲作。
 「おまえとやる野球が大好きだった」―。





<翻訳物>
10/9発売

『黒糖の涙』レクシムス・マーリン
窓のない部屋の床の暗い見えないところに古くなった女の死体が掃除されないままに転がっている。テーブルの向かいに座った盲目の少女は小さな蝋燭の灯りの中で私に語りかける。
「このパンはとても美味しいけれど、誰がいつも運んで来てくれているの?」
 私はステーキをナイフで優しく切り分けながら少女に答える。
「おまえがそんなことを気にする必要はないんだよ。ほら、ゆっくりとお食べ。横には美味しいスープがあるよ」―。