フォックスミラージュインタビュー
先日、謎の大男、雅婁馬隆作の主催による『プロレスリング散空抱地』が華々しい開幕を迎えた。この第一回が行われた会場で我々散空抱地スタッフは散空抱地出場レスラーである野上拓馬の入場テーマ曲『グッバイターニャ』を歌うフォックスミラージュのボーカル、ケビン・マッケイを見かけた。
イベント終了後にインタビューを申し込むと、遅い時間にも関わらず彼は快く了解してくれた。
―散空抱地を見終わった今の心境はいかがですか?
ケビン 最高だね。最初から最後まで興奮の連続だったよ。
―確かに最高の興行でした。しかし、雅婁馬隆作の思惑は依然としてベールに包まれている部分も少なくありません。あの男は一体何を考えているのでしょう。
ケビン あのクソ野郎が何を考えているかって?そんなこと誰にだってわかりっこない。あのクソ野郎がもしも俺の大切な人たちを傷付けるというなら見てろよ。あいつの首と体が遠距離恋愛することになるぜ。
―まったく同感です。私としても雅婁馬隆作を決して許すことができません。あの男がやったことは人間に許される限界を超えています。
ところで、あなたが所属するパンクバンド、フォックスミラージュが歌う『グッバイターニャ』を入場曲に使っているレスラー、野上拓馬についてはどのように評価していますか?
ケビン 奴は本物の男だ。目を見ればわかる。どういうわけか今はまだ牙を隠しているみたいだがな。奴が牙を剥き出し、真の姿を見せるとき、爆発的な活躍を俺たちは目にすることだろう。
―今まで、その情熱的でありクールなサウンドで長年音楽界をリードしてきたフォックスミラージュですが、『グッバイターニャ』はまさにそのフォックスミラージュを象徴するような美しいメロディアスパンクに仕上がっていますね。
ケビン そう言ってくれると嬉しいね。ターニャというのは去年の夏の始めに俺が出会った女の子のことなんだ。もっとも、実際にはターニャという名前ですらなかったがね。
でも、細かい話はいいんだ。歌を聞いてくれればね。そこに俺たちが込めたすべてがつまってる。
―大学在学中に衝撃的なデビューを果たし、今年でフォックスミラージュは20年目を迎えることになります。
あなた方がそんなにも長い間喧嘩別れすることもなく新しいことに挑戦し続けられる理由を誰もが知りたがっています。
ケビン ハハハハ。みんなそんなことを気にしているのか。だが、そんなポジティブなことじゃない。気の合う仲間を見つけて好きなことやってたらいつの間にか20年も経っちまってた。悲しいことだぜ。ぴちぴちの肌が懐かしいね(笑)。
―ありがとうございます。最後にこのインタビューを読んでいる散空抱地ファンのみなさんにメッセージを。
ケビン やあ。ケビンだ。フォックスミラージュのケビン・マッケイだ。
みんなは雅婁間がこのまま世界を支配してしまうのかと心配していることだろう。
だが、安心してくれ。
俺は雅婁間軍に対抗しうるレスラーの存在を少なくとも二人知っている。そして、俺たちみんなの中にも雅婁馬と闘う力があるはずだ。
人間の中にある勇気という強い力の存在を決して忘れないでくれ。